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H.TechnologyDesign and Marketing
執筆: 藤山 裕輝

ホームページ制作会社の乗り換え|引き渡す側も経験した作り手が書く、止めずに移る順番

「返事が遅い」「頼んだ修正がいつまでも直らない」「毎月の管理費に見合っているのか分からない」。そんな理由で、ホームページの制作会社を替えたいと考える方は少なくありません。

ただ、いざ乗り換えようとすると、何から手を付ければいいのか分からず、「サイトやメールが止まったらどうしよう」と不安になるものです。

私はふだん、ホームページを作って受け取る側にいます。一方で、前の Web 担当として、ある会社のサイトとドメインを次の制作会社へ引き渡す側も経験しました。その両方の立場から、乗り換えでいちばん大事にしているのは、今動いている仕組みを、いかに止めないかです。

この記事では、乗り換えの前にやる洗い出し、自分でできる確かめ方、止めずに移る順番を、実際にあった例と合わせて解説します。

この記事の要点

  • 乗り換えでいちばん大事なのは、今動いているサイトとメールを止めないこと
  • 最初にやるのは「洗い出し」。どこのサーバーで動いているか、誰の名義か、メールがいくつあるかを確かめる
  • ドメインの情報とメールの場所は、無料のツールで自分でも確かめられる
  • 今の会社との契約は、新しい場所で動くのを確かめてから、最後に解約する
  • 引き渡す側は、具体的な手順をもらえて、作業のたびに連絡があると動きやすい

乗り換えの前に、本当に乗り換えるべきかを考える

制作会社を替えたくなる理由は、だいたい次のようなものです。

  • 返事が遅い、連絡がつかない
  • 頼んだ修正が、なかなか反映されない
  • 毎月の費用の中身が分からない
  • 今のサイトのままでよいのか、提案がない

どれも、乗り換えを考えて当然の理由です。ただ、作り手の立場から見ると、乗り換えない方がよい場面もあります。

  • 乗り換えにかかる費用と、得られるものが見合わないとき。乗り換えには、新しい会社での作業費や、移すための手間がかかります。月々の管理費が少し下がるだけなら、元が取れるまでに時間がかかることもあります
  • 次の会社がしっかりしているか分からないとき。実績や体制が見えないまま移ると、同じ不満をくり返すことになりかねません
  • 安いからという理由だけで、経験の浅い個人の方に移るとき。費用は下がっても、トラブルが起きたときに対応できる人がいなくなることがあります

本当に見るべきなのは「ホームページで何をするか」

乗り換え先を選ぶときに、私がいちばん大事だと考えているのは、ホームページで何をするかを一緒に設計してくれる人がいるかどうかです。

ホームページは、作って終わりではありません。たとえば問い合わせのあとに公式 LINE で予約まで案内する仕組みをつなげると、会社としての動きがぐっと楽になります。こうした「つなげ方」を提案できる、経営と IT の両方に詳しい、相談相手のような人がいるかどうか。安さや対応の速さだけでなく、ここを見てほしいと思っています。

ホームページは「4つの部品」でできている

乗り換えで何が止まるのかを知るために、まずホームページの仕組みを簡単に整理しておきます。

ホームページを支える4つの部品。ドメイン(住所)、サーバー(建物)、サイトのデータ(中身)、メール(同じ住所に届く郵便)。住所から建物と郵便の行き先を案内するのが DNS の設定

  • ドメイン:「h-technology.jp」のような、サイトの住所です
  • サーバー:サイトのデータを置いておく、建物のようなものです
  • サイトのデータ:文章・写真・デザインなど、サイトの中身です
  • メール:「info@〜」のように、同じドメインを使ったメールアドレスです

そして、住所(ドメイン)に来た人を、どの建物(サーバー)へ案内するか、メールをどこへ届けるかを決めているのが DNS の設定です。乗り換えでサイトやメールが止まるのは、たいていこの案内の書き換えを間違えたときです。

大事なのは、サイトとメールは、別々の場所で動いていることがあるという点です。サイトだけを見て切り替えると、メールが届かなくなることがあります。

最初にやるのは「洗い出し」

乗り換えの相談を受けたとき、私が最初にやるのは、今の仕組みの洗い出しです。どのサーバーで動いているのか、契約は誰の名義なのか、メールアカウントがいくつあるのか。今使っているサービスをすべて書き出してから、どう移すかの方向を決めます。

確かめることなぜ大事か
ドメインの名義と管理会社名義がお客様でないと、移すときに手続きが増える
ドメインの有効期限期限が近いと、手続きの途中で切れるおそれがある
サーバーの会社と契約の名義誰が解約できるか、データを誰が持ち出せるかが決まる
メールアカウントの数と場所サイトと別の場所で動いていると、切り替えで止まりやすい
更新画面(CMS)のログイン中身を新しい場所へ移すときに要る
アクセス解析・Search Console移したあとも、今までの数字を見続けるために要る
契約書(期間・違約金・リース)いつ、いくらで解約できるかが決まる
データと著作権の扱いサイトの中身を持ち出してよいかが決まる

表の全部を自分で調べる必要はありません。分からないところは、次の会社に相談するときに「ここが分からない」と伝えれば十分です。ただ、ドメインの情報とメールの場所の2つは、無料のツールで自分でも確かめられます。

ドメインとメールは、自分でも確かめられる

自分で確かめる2つ。ドメインの情報は WHOIS(.jp なら JPRS WHOIS)でネームサーバーと有効期限を見る。メールの場所は Google の Dig で MX を見る

ドメインの情報を見る(WHOIS)

「.jp」で終わるドメインなら、JPRS(.jp を管理している会社)の JPRS WHOIS で、ドメイン名を入れて検索します。次のことが分かります。

  • ネームサーバー:DNS の設定をどこの会社で管理しているか
  • 有効期限:いつまでに更新が要るか
  • 登録者名:ドメインの名義

ただし、登録者名は申請すれば非表示にできるので、表示されないこともあります。「.com」などのドメインも、今は登録者の名前が伏せられているのがふつうです。その場合は、ドメインの管理会社の画面で「登録者情報」を見るのが確実です。その画面にお客様側でログインできない場合は、今の会社に「ドメインの登録者は誰の名義になっていますか」と、文面で聞いておきましょう。

メールがどこで動いているかを見る(MX)

Google が無料で公開している Google Admin Toolbox の Dig で、ドメイン名を入れて「MX」を選びます。表示されるサーバーの名前が、今メールを受け取っている場所です。

ここに出てくる会社が、サイトを置いている会社と違っていたら要注意です。サイトとメールが別々の場所で動いているので、切り替えのときにメールの行き先も一緒に考える必要があります。

実際にあった例:サイトとメールが、別々の場所で動いていた

私が前の Web 担当として、ある会社のサイトを次の制作会社へ引き渡したときの例です(社名は伏せています)。

実際にあった例。サイトは別のサービスで公開、メールは古いレンタルサーバーで2つ動いていた、ドメインの名義は会社ではなく個人の名前。行ったこと:ログインの代わりに設定の一覧を渡す、メールの受け皿を作ってから切り替える、名義は最後に会社へ移す

次の制作会社がサイトを作り直すことになり、古いレンタルサーバーのログイン情報を求められました。洗い出してみると、次のことが分かりました。

  • サイトは、すでに別のサービスで公開されていた
  • メールは、古いレンタルサーバーで、2つのアカウントが動いていた
  • ドメインの名義は、その会社ではなく個人の名前になっていた

もし古いサーバーを「もう使っていないから」と解約していたら、メールが届かなくなるところでした。また、そのサーバーにはほかの会社のサイトとメールも同居していたので、ログイン情報をそのまま渡すことはできません。

そこで、次のように進めました。

  1. ログイン情報の代わりに、DNS の設定を一覧にした表を次の会社へ渡す
  2. 新しいサーバーにメールアカウントを作ってもらい、メールの受け皿ができてから切り替える
  3. 切り替えのあと、サイトの表示とメールの送受信の両方を確かめる
  4. 古いサーバーは、すぐには止めずに、もしもの時に戻せるようしばらく残す
  5. ドメインの名義を会社に変え、最後にその会社のアカウントへ移す

結果として、サイトの切り替えはメールを止めずに終えることができました。名義を移すのを最後にしたのは、名義を移すと DNS を書き換える権限も相手に移るからです。切り替えを担当する側が、最後まで設定を触れるようにしておく必要がありました。

なお、過去のメールは、DNS を切り替えても新しいサーバーへは移りません。残しておきたいメールがある場合は、別に移す作業が要ります。

止めずに移る順番:解約は最後

洗い出しが終わったら、次の順番で進めます。

止めずに移る順番。1 洗い出し、2 次の会社に相談、3 今の会社に依頼(手順を具体的に)、4 新しい場所で作って確かめる、5 切り替え(サイトとメール)、6 しばらく様子を見る、7 名義を移して、今の契約を解約する

  1. 今の仕組みを洗い出す(前の節の表)
  2. 次の会社に相談する。今の会社に伝える前で構いません。移し方と段取りを一緒に決めます
  3. 今の会社に、乗り換えを伝えて依頼する。何をいつまでに渡してほしいかを、具体的に伝えます
  4. 新しい場所で作り、確かめる。この間も、今のサイトとメールは動いたままです
  5. 切り替える。サイトとメールの行き先を書き換え、両方が届くかを確かめます
  6. しばらく様子を見る。古い場所は、すぐには止めません
  7. 名義を移し、今の契約を解約する

いちばん大事なのは、今の契約の解約を最後にすることです。先に解約してしまうと、新しい場所の準備が終わる前に、サイトやメールが止まるおそれがあります。

引き渡す側が動きやすい頼み方

今の会社にどう伝えればよいかは、その会社との契約によって変わるので、一言では言えません。ただ、引き渡す側を経験した立場から言うと、次の2つがあると、かなり動きやすくなります。

  • 具体的な手順が書いてある:「データをください」ではなく、「この設定の一覧と、このデータを、いつまでに、この形で」と書いてあると、迷わずに動けます
  • 作業のたびに連絡がある:「今日の夕方に切り替えます」「切り替えが終わりました」と、作業の前後で連絡があると、こちらも合わせて確認ができます

逆に、受け取る側として引き継ぐときにも、連絡の速さはとても大事だと感じています。返事が何日も止まると、そのあいだ古い仕組みを残しておく期間が延び、期限のある手続きにも影響します。

乗り換えは、今の会社・次の会社・お客様の三者の作業です。新しい会社が段取りを組み、具体的な手順を渡し、こまめに連絡する。それができる会社なら、引き渡す側も気持ちよく協力しやすくなります。

よくある質問

乗り換えると、サイトのアドレスやメールアドレスは変わりますか?

同じドメインを使い続けるなら、変わりません。変わるのは、サイトやメールを置いておく場所(サーバー)と、そこへの案内(DNS の設定)です。ドメインそのものを移す手続きと、サーバーを替える作業は別のものです。

今の会社に伝える前に、次の会社へ相談してもいいですか?

相談だけなら、問題ありません。むしろ、移し方と段取りが決まってから伝えた方が、何を渡してほしいかを具体的に頼めるので、引き渡す側も動きやすくなります。

過去のメールは、新しいサーバーに移りますか?

DNS を切り替えるだけでは移りません。残しておきたいメールがある場合は、古いサーバーを止める前に、別に移す作業が要ります。誰がやるのかを、乗り換えの前に決めておきましょう。

今の会社と連絡が取れません

まず、ドメインの管理会社の画面に、お客様側でログインできるかを確かめてください。ログインできれば、名義の変更や移す手続きを進められることが多いです。ログインできない場合は、洗い出しの結果を持って、次の会社に相談してください。

H.Technologyが作るときに、最初から決めていること

ホームページは、いつでも乗り換えられる状態で持つのが、いちばん安全だと考えています。乗り換えられないように縛るのではなく、乗り換えられる状態にしたうえで、続けたいと思ってもらえる仕事をする。私たちの月額プランは、その考え方で条件を決めています。

  • ドメインはお客様の名義です。いつ解約しても、無料で移します
  • 最低契約は12か月。13か月目からは、いつ解約しても違約金はかかりません
  • 24か月以上続けていただいたら、サイト一式を無料でお渡しします

サブスク型のホームページで、契約の前に確かめたいことは、ホームページのサブスク、7つのデメリットと熊本でホームページをサブスクで持つ前にでも詳しく書いています。

今の制作会社からの乗り換えを考えている方は、洗い出しからお手伝いします。プランの中身は、ホームページ制作のページでご覧いただけます。

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